味とは何か。料理とは、何か。
味は、記憶。
そして料理は、記憶の再現である。
甘 酸 塩 苦 旨 ―― 五味。
かたい やわらかい つるつる ぱりぱり ふわふわ ―― 食感。
あつい あたたかい ぬるい つめたい ―― 温度。
そして、色彩やフォルム、明度。匂い、音、手ざわり。
これらのインプレッションを、我々は
からだとこころに、記憶する。
味覚 嗅覚 視覚 聴覚 触覚 ――
五感を、無意識のうちに駆使して。
そうして得られた「おいしい」という記憶を、再現するもの。
それが、料理である。
『ゆきむら』は、人々がこれまでに体験した食の官能を、再現する。
あるものは、姿かたちもそのままダイレクトに。
またあるものは、分子の存在までに分解し、再構築して。
時にそれは再現を超越し、人々の記憶を、既成概念から解放するだろう。